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【積読論文消化】学術出版の著作権所有に関する英国OA方針の影響

基礎知識が圧倒的に足りていない(くせに勉強しない…)のをあかんなぁ、と思わせられる出来事が立て続けにあったので、積読していた論文をひとつ。

jipsti.jst.go.jp

本文はここから、The implications of the new UK Open Access policies on the ownership of copyright in academic publishing
著者はこの人か。Help and support | The University of Edinburgh

メタデータを見るとdc.type Thesis or Dissertation。ん、博論なのかな?と一瞬思ったけど、どうも単に”論文”という意味でdissertationを使っているみたいだ。本文内のacademicsは"学者"の意のよう。Researcherという言い方に馴染んでいたので、こんなところからもたもたしてしまう。あぅあぅ。【2016.1.12 修論でした。kitoneさんありがとうございます】

序論のまとめはJSTページにあるので省略。手法は基本的に文献調査。

問いはシンプル。
研究成果の著作権は、いったい誰のものなのか?

この所有問題はさまざまな観点・立場から論じられるべきなのに、水平な共有はされていないよね、という危機感は根底にありそう。雇用問題として、法律問題として、商業、公共政策の問題として…、捉えるべき面はたくさんある。

雇用主(大学側)は、『雇用期間中に生産された業績』という法の文言を曖昧に捉え続けてきてしまった。被雇用者である研究者の成果物は大学が保持しているものと考えつつ、実際問題著作権を主張せずにきてしまった。本来出版社は、著者でも雇用主でもなく、譲渡によって著作権を得ている。被雇用者として研究者をとらえれば、契約内容次第でかれらの成果物の著作権は雇用主のものにもなりうる。

研究成果は誰のものか。
OAポリシーの策定は、問いへのぱきっとした解決策になるとは言えない。ただ解決に向けての一歩になるだろう、と信じて行うのみ。
結局は誰がどのように著作権を持ってもよい。ただすべては、よりよい研究のために。

自分のアイディアが他者の所有にかかる、という状況を経験をしたばかりなので、ああ雇用か…と。そういえば雇用者という目で研究者を見たことは無かったなぁ。私にとっては新しい視点。

◆おまけ◆出てきたポリシー概観

・いわゆるFinch Report(Oct.2015)'Accessibility, sustainability, excellence: how to expand access to research publications' Finch Group report: government response on open access - Publications - GOV.UK
公的な助成を受けた研究結果のOA化(特にゴールド)を全面的に支持する内容。その後英国政府がレポートの内容を受容。
英国政府が「Finchレポート」に対する公式見解を、英国研究会議と欧州委員会がオープンアクセス方針を発表 | カレントアウェアネス・ポータル

・RCUKのポリシー(April.2013から適用)RCUK Policy on Open Access - Research Councils UKRCUKは英国の資金助成団体。ゴールドOA化を後押しする内容で、APC負担に使える補助金支給の枠組みについても触れている。

・HFECEのポリシー(2014)Policy - Higher Education Funding Council for England
nextResearch Excellence Framework(REF:高等教育機関の研究評価をする)の結果を踏まえ、受理から3カ月以内に著者最終稿をリポジトリで公開することが提案されている。
英国、HEFCEはじめ高等教育助成関係4機関が新OA方針を発表 研究成果のリポジトリ登録を義務化へ | カレントアウェアネス・ポータル